菊井鋏研究所

和歌山の理美容シザーメーカー、キクイシザースのブログです。毎週金曜、更新します。

【ものづくりを訪ねて】京都・西陣織に出会う旅

和歌山で理美容ハサミを作っている会社、キクイシザースです。

今回はものづくりのヒントを求めて、京都の西陣岡本さんを訪ねてきました。

西陣岡本さんは、西陣織のなかでも「金襴」という、寺社仏閣で扱われる絹織物を作ってきた職人さんの会社。

伝統工芸の中で大切にされている、こだわりや作り手の思いを学んできました。

我々は1000年以上の歴史を持つ「金襴」という神社仏閣で宝物として扱われる織物を手織りできる専門職人集団です。
美しい西陣織金襴の良さを守りながら、新しいテキスタイルを世界に広げたいという熱い思いを抱いております。
西陣織の歴史の中で培われてきた伝統と革新の技術で、暮らしの中にきらりと光る一品を提案します。
古来より宝物として納められてきた絹織物を、お客様の元へ。

引用: トップページ | 西陣 岡本

youtu.be

 

小川通一条上ル、ものづくりの現場へ

西陣岡本さんは、京都御所から少し西に入った場所でものづくりをしています。

京都の通りで呼ぶと、「小川通一条上ル」。 

今出川駅で降りて京都の町並みを楽しみながら歩いて行きました。

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たどり着いたのは、 京町屋造りの奥に広い社屋。

温かく迎えていただき、早速奥に通してもらいものづくりの現場を見学しました。

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大切に使い込まれてきた、手織りの機が並ぶ作業場。

模様に合わせて緯糸を丁寧に手作業で織り込んでいきます。

柄の色数が多いほど織り込む糸の種類も増える大変な作業。

一日にすこしずつしか織れない、非常に手間暇の掛かる作業を見せていただきました。

 

たくさんの人の手が関わって、一枚の織物が生まれる

作業の見学の後は、実際に織られた色とりどりの西陣織を見せていただき話を伺いました。

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こちらが西陣岡本さんが作る金襴の絹織物。

西陣岡本さんのWebサイトによると、

金銀の糸を用いた豪華絢爛な金襴の織物は、「薄暗いお寺の本堂において金の輝きで周りを明るく照らし、極楽を表現する為の絹織物」として発展して来ました。 

 ということです。

「極楽」というのは実物を見ると納得で、光の当たる角度によって本当に美しく輝いていました。

同じ金の糸でも種類があって、光沢の強いものと落ち着いた質感のもの、デザインに合わせて使い分けているということでした。

煌びやかな色を使いながらも上品にまとまった西陣織は、金が日本の伝統色だと改めて実感させてくれます。

 

さて、この織物に使われている金の糸は、和紙に漆を塗って金箔を貼り付け、それを細く切って作られています。

話を聞くだけで手間が掛かっているなぁと驚きますが、実際にそうやって作られた金糸はとても繊細なものでした。

西陣岡本さんの織物は煌びやかな金だけでなく深い緑や鮮やかな朱色など、調和した配色や上品な質感にも目を奪われます。

伺ってみると、この上品な調和を守るためには絹糸にもこだわり、日本の上質な正絹が使われているという事でした。

もう一つ感心したのは、緯糸を通すために使われる杼(ひ)という道具。

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乾燥させた赤樫で作られたこの道具、重心を少しずらしていたり、微妙に水平を傾けていたり…。

さすが伝統工芸、こういった道具一つにも細かな工夫や職人技が宿っていました。

 

手織りの絹織物のすばらしい技術を持つ岡本さんの話からは、自分たちの仕事を支えるたくさんの職人たちへの敬意が溢れていました。

糸を作る職人、絹糸を染める職人、仕上がった織物を糊で裏張りする職人、さらには織り機や道具の職人…

そんな話を聞くと、一枚の織物が出来るまでに携わる人の手の多さに驚きます。

西陣岡本さんのものづくりの現場は、そんな大勢の職人の仕事が結集した、日本のものづくりの集大成とも言える場所でした。

 

僕たちのハサミづくりもやはり、ハサミを作る我々小鍛冶だけでなく、鋼を作る大鍛冶、ネジや部品を作る加工業者、砥石や工具メーカーなど、いいものを作り続けてきた日本のものづくり技術のおかげで成り立っています。

作っているものは違いますが、この「絆」を尊重し大切に考える岡本さんのお話は強く共感するものでした。

 

「ものづくり」の目を通して繋がる、西陣織とハサミ。

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最後に、煌びやかな西陣織とGoldコーティングシザーのツーショットを撮らせていただきました。

西陣織と理美容ハサミ。

異なる世界のものづくりに触れるなかで、ものづくりの考え方や目指すもの、深い部分で共感できる事がとても多い時間を過ごしました。

何よりも学んだのは、伝統をしっかりと守りながら新しいことにも挑戦しようとする心意気。

岡本さんご夫婦の温かい人柄に話も弾み、ものづくりの奥深さと楽しさを改めて感じることが出来ました。

 

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